【冒険者の酒場】魔術師

魔術師。他の呼称としては、魔導師・魔法使いなど多数。
英語でも、ウィザード(Wizard)・ソーサラー(Sorcerer)・メイジ(Mage)など、微妙にニュアンスの違う言葉が使われます。
多くの場合、ファンタジー作品をファンタジーたらしめている大きな要素のひとつが現実世界に存在しない魔法という力であり、魔法・魔術師の在り方こそが世界観を表現する個性です。ですから、作品によってその扱い・呼称が色々と異なり多岐にわたるのでしょう。

近現代ファンタジーにおける魔術師のイメージがどのように成立し、現在どのように分類できるのか、というのは本にまとめるレベルの話なので、そこまで詳しくは書けませんが、元になったであろう事柄をいくつか軽く挙げてみたいと思います。

キリスト教化前のヨーロッパ。
北欧神話の主要神であるオーディンは神ですが、魔術に長け、鍔の広いとんがり帽子とローブと杖を身にまとい、長いヒゲをはやしているなど、ビジュアル的なイメージは後に魔術師のものとなりました。
またケルトにおけるドルイドは自然崇拝的な祭祀、宗教的指導者ですが、キリスト教化により邪教とされ、そのイメージが魔女(ウィッチ)に受け継がれたようです。
ギリシャ・ローマ系神話にも魔術は出てきますが、職業としての魔術師というのはあまり目立たないですかね。魔女(ニュムペー)は、半神・精霊的な種族です。
現代まで伝えられている西洋の民話や童話にもよく魔女や魔法使いが登場します。妖精などと同じように、キリスト教化によって宗教としての教えから外れた部分が、お話という形で現代に残ったのかもしれません。

 → 【冒険者の酒場】巫女
 → 【冒険者の酒場】僧侶

ユダヤ教およびキリスト教の正典である旧約聖書には何箇所か魔法使いが登場します。役どころは悪役で、正義のユダヤ人に敵対する悪のエジプト帝国幹部、という感じ。魔法使いはやっつけろと書いてあり、これが後々ヨーロッパで拡大解釈され、魔女狩り───(黒)魔法を使ったと認定された者への迫害・虐殺が横行した社会的事象───につながりました。ユダヤ側の魔術師では72柱の悪魔を使役したと言われるソロモン王が高名です。が、実は旧約聖書にはソロモン王が魔術を使った話は出てきません。とはいえ近代の創作というわけでもなく、旧約当時からユダヤ人の間で伝承されていた話ではあるようです。
一方、新約聖書には善玉として東方の三博士(賢者・学者・占星術士とも)というのが登場します。キリストの生誕を祝って贈り物を持って来る人たちで、魔法を使うわけではありませんが、彼らはマギと呼ばれ、メイジの語源であるとされます。

近代の創作では「オズの魔法使い(ウィザード)」が有名です。が、この魔法使いは…。しかし逆に言うと、1900年の時点で実は○○だった…っていうどんでん返しに使えるほど、ウィザードという単語にちゃんとした魔法使いのイメージが固まっていたと見ることもできます。

プリンセスとパンドラの箱

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