【冒険者の酒場】武闘家

武闘家(マーシャルアーティスト)
ゲームでよく目にする「武闘家」。実はよくわかりません。格闘技で闘うクラスだよねってイメージはみんなが共有できてると思うんですが。
なんといっても有名なものはドラクエ3の「ぶとうか」でしょう。それ以前の剣と魔法のファンタジーRPG、小説映画などにぶとうかに相当する格闘技専門のクラスというのは見当たらないように思います。というか、ドラクエ以前に「ぶとうか=武闘家」っていう言葉ああったんですかね? 一般的な辞書に載ってないし、ドラクエが作った造語なのではないですか、もしかして?

武道家(ぶどうか)という言葉は昔からあります。呼んで字のごとく武道を行うひと。武術、つまり戦闘術の鍛錬に精神修養(道)の思想が加わったものが武道です。ただ、日本における武道は代表的なものとして剣道を含んでいますし、中国武術もさまざまな武器を使います。ゲームでは剣などで戦う戦士と差別化する必要があるので、素手、格”闘”技で戦うということを強調するために、武”闘”家とされたのではないでしょうか。

武闘家は英語やカタカナ表記では”モンク(Monk)”とされる場合があります。モンクとはキリスト教の修道士という意味の言葉で、世俗を離れ禁欲や修行を行う宗教者の一種です。元々は格闘家というニュアンスはないはず。ドラクエがそうであったからか、武闘家のイメージは中国武術風が強く、そのなかに少林”寺”拳法のように出家して寺で修行する流派があったので、モンクという言葉が与えられたのかもしれません。
今回は出家僧のつもりで描いてはいないのでMartial artistにしましたが、あんま座りはよくないですね…。

余談ですが英語版ドラクエ3では  せんし → warrior  ぶとうか → Fighter  だそうです。


リメイク元 → 竜凰姫

 

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【冒険者の酒場】拳闘士


拳闘士(パンクラシスト)

基本4クラス 戦士魔術師僧侶盗賊 が出揃ったので、ほかに希望クラスを聞いたところ、武闘家というリクエストがありました。
武器に頼らず己の体で戦う、というのは人類発祥どころか、猿の時代から行われていたことですので、クラス・スキルとしても最古のひとつと言えるでしょう。道具や武器を作り文明を築いても、素手で戦うことの価値はなくなりません。いつでも武器をもっているとは限りませんので。

RPGで武闘家というと、ドラクエ3の影響か、東洋風のイメージがあります。ごく初期のコンピュータRPGであるウィザードリィにニンジャがいるくらいなのでべつにいいのですが…、それは後の機会に譲すとして、今回は西洋の方。

西洋風のファンタジーってあまり格闘家のイメージないなあって方もいると思います。
いわゆる「剣と魔法」と呼ばれるジャンルが元にしている中世ヨーロッパは、あまり格闘技が目立たない時代でした。しかし、少し時代を遡った古代ヨーロッパでは格闘技が盛んだったのです。(*)

紀元前4000年(紀元前40世紀)ころの古代エジプトでは軍隊でボクシングが教えられていたそうです。時代は下って古代ギリシャ。紀元前3000年ころには既に競技としてボクシング・レスリングが行われていました。さらに、打撃技も関節技もOKな、現代の総合格闘技のようなパンクラチオンという競技も登場。その選手が”パンクラシスト”。古代オリンピックでも競技が行われた記録が残っています。
その後、ローマ帝国の時代になると、競技会であるオリンピックと並行して、見世物としてコロシアムでの”剣”闘士興業が行われました。メインは剣による戦いでしたが、こちらにも拳で闘う種目もありました。

4世紀ころにオリンピックが途絶え、剣闘士興業も7世紀ころに消滅。古代から中世になるにしたがって格闘技は西洋史の表舞台から消えてしまいます。
しかし考えようによっては西洋だって格闘技の存在した時代の方がずっと長いし、キリスト教規範のないファンタジー世界であれば、格闘技が隆盛を誇っていてもおかしくない…かもしれません。

*余談ですが、古代ギリシャ・ローマ風ファンタジーには「剣とサンダル」というル名もあります。古代の方に魔法が出ないわけじゃないんで、中世風「剣と魔法」古代風「剣とサンダル」って並べるの違和感あるけど。

*拳闘士(パンクラシスト)って正しくないんだけども、ボクサーとか総合格闘家だとファンタジー職業っぽくなさすぎるので…

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【冒険者の酒場】死霊術師

死霊術師(ネクロマンサー)
魔術師のバリエーションで、特に死霊を操る術に特化した者です。
ネクロマンサー・ネクロマンシー(死霊魔術)という言葉はゲーム文化以前からありましたが、元来は死霊の声を聞く占い師といった感じの職業でした。日本でいうとイタコみたいなものかな? 現代になってゾンビや動き回るスケルトンといったイメージが主に映画を通じて広まった結果、それらを使役する職業としてネクロマンサーの語が使用されるようになりました。


動く骸骨っていうお話自体は昔からあったらしいのだけど、この映画ではじめてビジュアル化されて世界に衝撃を与えたそうです。CGはおろかろくに特撮もなかった時代。


ハクメイとミコチのセンちゃんはネクロマンサーといっていいのかな
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【冒険者の酒場】魔術師

魔術師。他の呼称としては、魔導師・魔法使いなど多数。
英語でも、ウィザード(Wizard)・ソーサラー(Sorcerer)・メイジ(Mage)など、微妙にニュアンスの違う言葉が使われます。
多くの場合、ファンタジー作品をファンタジーたらしめている大きな要素のひとつが現実世界に存在しない魔法という力であり、魔法・魔術師の在り方こそが世界観を表現する個性です。ですから、作品によってその扱い・呼称が色々と異なり多岐にわたるのでしょう。

近現代ファンタジーにおける魔術師のイメージがどのように成立し、現在どのように分類できるのか、というのは本にまとめるレベルの話なので、そこまで詳しくは書けませんが、元になったであろう事柄をいくつか軽く挙げてみたいと思います。

キリスト教化前のヨーロッパ。
北欧神話の主要神であるオーディンは神ですが、魔術に長け、鍔の広いとんがり帽子とローブと杖を身にまとい、長いヒゲをはやしているなど、ビジュアル的なイメージは後に魔術師のものとなりました。
またケルトにおけるドルイドは自然崇拝的な祭祀、宗教的指導者ですが、キリスト教化により邪教とされ、そのイメージが魔女(ウィッチ)に受け継がれたようです。
ギリシャ・ローマ系神話にも魔術は出てきますが、職業としての魔術師というのはあまり目立たないですかね。魔女(ニュムペー)は、半神・精霊的な種族です。
現代まで伝えられている西洋の民話や童話にもよく魔女や魔法使いが登場します。妖精などと同じように、キリスト教化によって宗教としての教えから外れた部分が、お話という形で現代に残ったのかもしれません。

 → 【冒険者の酒場】巫女
 → 【冒険者の酒場】僧侶

ユダヤ教およびキリスト教の正典である旧約聖書には何箇所か魔法使いが登場します。役どころは悪役で、正義のユダヤ人に敵対する悪のエジプト帝国幹部、という感じ。魔法使いはやっつけろと書いてあり、これが後々ヨーロッパで拡大解釈され、魔女狩り───(黒)魔法を使ったと認定された者への迫害・虐殺が横行した社会的事象───につながりました。ユダヤ側の魔術師では72柱の悪魔を使役したと言われるソロモン王が高名です。が、実は旧約聖書にはソロモン王が魔術を使った話は出てきません。とはいえ近代の創作というわけでもなく、旧約当時からユダヤ人の間で伝承されていた話ではあるようです。
一方、新約聖書には善玉として東方の三博士(賢者・学者・占星術士とも)というのが登場します。キリストの生誕を祝って贈り物を持って来る人たちで、魔法を使うわけではありませんが、彼らはマギと呼ばれ、メイジの語源であるとされます。

近代の創作では「オズの魔法使い(ウィザード)」が有名です。が、この魔法使いは…。しかし逆に言うと、1900年の時点で実は○○だった…っていうどんでん返しに使えるほど、ウィザードという単語にちゃんとした魔法使いのイメージが固まっていたと見ることもできます。

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