ゴブリンと言えば何色?
ゴブリンと言えば何色?
…いま、世間一般的には緑であるとされることが多いです。
でも、ぼくは緑のイメージないんですよね。
とはいえ現実はこう、googleをゴブリンで画像検索してみると緑一色、役満。
でも、古い画像に限定して検索してみるとそんな緑ばっかりじゃないでしょ。
最近なんか緑のゴブリンを支配的にした作品があったのかな…と、ゴブリンの歴史を調べたはじめたら、これが結構ややこしい。
古代。
ゴブリンの源流を探るとギリシャ神話。酒神デュオニュソス(バッカス)の眷族に、コバロス、コバイロイっていういたずら好きの妖精がいたようです。妖精といっても純粋無垢な感じじゃなく、下品で性欲も強い蛮族っぽい感じの種族。性質が同じくデュオニュソスの眷族であるパン(下半身が山羊の獣人)と被ってますね。
これが時代が降るにしたがって、
古代 コバロス(ギリシャ語)
中世 ゴベリヌス(ラテン語)
近代 ゴブラン(フランス語)
現代 ゴブリン(英語?)
というように変化していくと。
中世。
ヨーロッパのキリスト教化以降、ゴブリンに限らず神話の類はメインカルチャーから追い出され、その一部が、むかし話、おとぎ話として庶民の間に口で伝えられていました。
このころはゴブリンに限らず、いたずら妖精や小人には緑色のイメージがあったようです。緑色は、おどろおどろしい反キリスト教の象徴でした。
ぼくのキャラのデーモンさんが緑髪なのも、悪魔は緑髪って話をなんかで読んだ気がしたんだよな…大昔なので出典を忘れてしまったけど…。
近代。
20世紀前半になると、緑色の小人って感じのゴブリンの絵本などが出てきます。
恐怖や反キリスト的なイメージは減りましたが、妖精や小人の緑色は残りました。ピーターパンの服とかもそのへんから来てるんじゃないかな。
現代。
1954年、J・R・R・トールキンが指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)を執筆。むかし話・おとぎ話を昇華して、大人にも読みごたえのある(狭義での)「ファンタジー小説」というジャンルが誕生。この時、ゴブリン=オークはグレーと設定されました。
「トールキンがそう設定したから」っていうのファンタジーあるあるなんですけど、緑のゴブリンについては違う。むしろ変えてた。
指輪物語を規範として、さまざまなファンタジー小説やゲームが発展したわけですが、メジャーどころって意外と緑じゃない。たとえばD&Dやウィザードリィは赤茶系、ハリーポッターは肌色?
これは想像なんですが、全身緑の妖精って特に西欧では子供向けのおとぎ話っぽくなりすぎてしまうから避けたんじゃないかと思うんですよね。
一方、アメリカ人は映画やコミックでケバい緑色の悪役や異種族をいっぱい作ってました。まぁ黒や赤だといろいろ問題になりそうだしね。
アメコミ、スパイダーマンの敵として登場したグリーン・ゴブリンも印象深かったのかもしれない。
で直近。
ネット普及以降、ゴブリンは急激に緑色に戻りつつあります。
結局その理由は想像でしかないんですけど、何かエポックメイキングな作品があったわけじゃなく、ネット検索が普及して皆があまりにも”正解”を手にしてしまったので、単一イメージによる塗りつぶし現象が起きたんじゃないか。と。なんか寂しい話になっちゃいました。
というわけで結論、ぼくの仮説。
トールキンが緑以外にしようと思ったので、それにならって初期ファンタジー作品は緑じゃなかった。
ネット普及以後は、ゴブリンは緑っていう中世的伝統設定が共有されてみんな緑で塗りはじめた。
以上です! いかがでしたか?
参考 https://twitter.com/mog4791/status/1226107189850361856
Kobalos – Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Kobalos
なぜ緑色? ファンタジー作品に登場するモンスターの「歴史学」 | オークやゴブリンに火星人… | クーリエ・ジャポン https://courrier.jp/news/archives/190600/
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