ガンダルヴァ
インド神話に登場する、半人半鳥の姿をした精霊、半神です。音楽を司るとされ、神々の宮殿に楽師として仕えています。食物を必要とせず、香りのみを生命の糧とし、また自身も香気を放つ、とされています。
類似のモンスターとして、ギリシャ神話に登場するハーピーが挙げられます。同じく音楽の属性を持つ半人半鳥の姿です。鳥はさえずるものという認識は洋の東西を問わないでしょう。一方、ハーピーは悪臭を放つとされています。これは正反対の特徴だと言えますが、実は悪臭とよい香りというのは、同じ成分の濃さの違いにすぎない場合があります。糞便の臭い物質と同じものが、バニラ・ジャスミン・バラなどの香り成分として、香水や食品添加物として使われています。
→ ハーピー/リリヨー (過去記事)
ガンダルヴァは後代になると半馬半人で描かれるようになり、これをして語感の似ている西洋のケンタウロスと同源と比定する説もあります。この場合、ガンダルヴァは神酒の守護者ともされ、酒を好むケンタウロスと同じ酒属性であることも根拠とされます。しかし、単純にこの2種が同じモンスターということではありません。インドとヨーロッパの共通先祖に、半人半獣のモンスター概念、単語があり、それが両者に引き継がれ、歴史と伝承の中で次第に形を変えていったのではないか、ということです。現在この説は強く支持されているわけではないようですが、語源が同じかどうかは別として、伝説の根が同じということはあるかもしれません。インド・ヨーロッパうんぬんについてはウマの項で書いています。
→ ウマ (過去記事)
仏教の時代になるとガンダルヴァも仏法を守護する天部として信仰に取り込まれ、中国で乾闥婆という漢訳名を与えられ、日本まで伝来します。音楽、食香、神酒守護などの特徴は引き継がれているのですが、なぜか鳥でも馬でもなくなり、獅子の兜?をかぶっています。
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