排斥するスプリガン
2016-08-20
スプリガンはイギリス南西部のコーンウォールに伝わる、遺跡、あるいは遺跡の財宝を守護する妖精です。
イギリスには古墳や環状列石などといった遺跡がたくさんあります。環状列石というのはストーンヘンジみたいなやつです。あれは一個じゃなくて、保存状態がいいために代表的になっているだけで、似たようなものがイギリス中にあります。これらはもちろん昔のイギリス人が作ったもので、往時には寺や神社に相当する何らかの宗教的施設だったと思われます。しかし、後の時代になると、人々はキリスト教の布教を受け入れ改宗してしまいます。教えることを禁じられた宗教は民話に、うち棄てられた聖地は遺跡に、神々は悪魔や妖精に貶められました。中世になると、イギリス人たちは古代の宗教をすっかり忘れ、遺跡の向こうに妖精の国があると考えるようになりました。
別の説では、スプリガンは巨人の幽霊だとも言われています。ここでいう巨人というのは、ただ単に大きい人という意味だけではなく、北欧神話の巨人と同じく、強大な力を持ちながら自分達によって駆逐された、かつてのこの土地の支配者という意味を持っているのではないでしょうか。遺跡や妖精の中に、失われたかつての自分達の文明があることを無意識に知っていたのかもしれません。
イラストもキリスト教以前の古代イギリス、ケルト文明の遺跡のイメージで描きました。
前の回 →警告するスプリガン
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