黒人天使

黒人天使 (African American Angel)

さて今日は天使の続きです。

中東で生まれ、ヨーロッパに広まったキリスト教は、近代に入りさらにその版図を広げます。具体的には、現在、アメリカ大陸とアフリカ大陸にある多くの国で、キリスト教徒が多数を占めています。なぜそうなったのか、というのは、重くつらい歴史があるのですが、このblogでは触れません。

さて、ある程度キリスト教が浸透し、さらに経済的にもまだまだ不均衡があるとはいえそれなりの経済発展もしてくると、黒人のキリスト教徒たちは天使がみんな白人の子供であることが納得できません。そこで、自分達の教会の飾り、クリスマスのプレゼントの包装紙などに、黒人の天使を描いて使うようになりました。日本ではあまり見かけないのですが、アメリカ合衆国ではありふれたものなのだそうです(参考:African American Angel

というのも、天使に限らず、アメリカでは黒人は黒人の絵柄を、白人は白人の絵柄のものを買うのが普通なんだそうです。個性を重視してるのか差別意識が残ってるのかはよくわかりませんが…余談ですが、子供向けなんかで緑肌とか人外のキャラが多いのは人種に問わず売れるからだとか。

そんなわけで黒人の天使です。そもそも今の赤ちゃん的なイメージの天使は、本来ギリシャ・ローマのキューピットのイメージだ…というボクの仮説からすると、当然当時はキューピットが黒人(をイメージした神)であったわけはないので、ある意味近代に入って新しく生まれた神格とも言えるでしょう。

もっとも大体にしてキリスト教自体が中東で生まれたものですから、白人ばっかりの伝統的天使絵がおかしかったんだ、という風にも言えますが、それ言ったら仏像だって仏教の生まれたのはインドで、仏像も彫りの深いソース顔から、中国を経て日本で広まった頃には彫りの浅いしょうゆ顔へと変化したわけで、結局みんな自分の神様が欲しいんですね。

便宜上黒人天使っていうタイトルにしましたが、黒人とかニグロとかって言う言い方はあんまりよくなくて、アフリカ人とかアフリカ系アメリカ人って言うべきなんだそうです。今回の資料も英語でニグロエンジェルとかブラックエンジェルとか調べても全然出てこないんですが、アフリカン~で調べるといっぱいある。今でもいろいろ難しいんだなあと思わされました。

個人的にはファンタジーモノでよくある、褐色のエルフが悪者種族だったりするのはあんまり好きじゃないですね…。もちろん過去の名作を出版停止にしたり改変したりする必要はないと思いますが、最近作った設定でそういう風にしちゃうのは、ちょっとセンスが悪いかなって思います。

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追記 そういえば、エチオピアだけは例外で植民地系じゃない古くからのキリスト教国なんだっけ、と思ってちょっと検索したらアフロの天使がいました。系統は違うけど、黒人天使そのものは古代からあったんですね。

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